世界標準の通信プロトコルOpenADR(*1)、を使用し、国内ビジネスで約140万個所の通信接続を行い、約320万人に電力を供給しています。
その需給調整にComAp社製のコントローラが大きな役割をはたしています。
水素エネルギーに関しては日本では2009年に家庭用燃料電池(エネファーム)が国の補助金を受けて世界に先駆け商用化されています。
そして2014年に燃料電池自動車も世界初の商用化に成功しています。その結果を受け国は水素エネルギー関係産業界の意向を受け2017年12月に「水素基本戦略」を策定しています。
水素に関するビジネスは水素製造、輸送・貯蔵、利用、安全をシームレスなコストパーフォーマンスに優れた大規模なインフラ構築が欠かせません。
燃料電池という水素利用機器の他に水素タービンという水素利用機器が加わることで相乗効果が働き大規模なインフラ構築の実現を加速させます。
また我が国は「電力システム改革」(平成25年4月2日閣議決定)において
① 広域系統運用の拡大
② 小売及び発電の全面自由化
③ 法的分離の方式
による送配電部門の中立性の一層の確保の3段階の改革を行うことが通常国会において成立し、現在鋭意制度設計が進められています。
制度設計の中で、再生可能エネルギー普及に伴うデマンドレスポンス(*2)、仮想発電所:バーチャルパワープラント(VPP)(*3)、アグリゲーター(*4)、アンシラリーサービス(*5)の必要性が問われ国家プロジェクトとして大規模実証や国レベルの検討・審議が継続中であります。
図-2 に示した需給制御型CO2フリー電力供給システムは再生可能エネルギー増加に伴う既存の電力系統への負担を少なくすることにも貢献できます。
オーストラリアのEnergex社の先行例を参考にすることでデマンドレスポンス、VPP、アグリゲーター、アンシラリーサービスに係る国内でのビジネス展開を容易にします。そして欧米の如く新産業創出に貢献します。
<用語説明>
(*1) OpenADR
再生可能エネルギー普及とともに不安定な電源を制御する(ADR: Automated Demand Response)技術が世界的に注目されている。
従来の国内発電所計画では電力需要が多くなった場合、それに合わせて発電所を建設し、供給量を増やしていました。
デマンドレスポンスは、それとは違い節電をすることで供給量の範囲内まで需要を減らすという方法になります。
OpenADRはADRのためのメッセージ交換プロトコルです。
OpenADRは国際標準化が進められています。
我が国も2020年以降の需給調整市場確立のため通信規格としてOpenADRを採用し実証試験や制度設計を現在進めています。
(*2) デマンドレスポンス
太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの導入が大きく進みました。
これらは天候など自然の状況に応じて発電量が左右されるため、供給量を制御することができません。
電力の需給バランス調整が必要となります。
需要量がピークとなる時間帯に電気料金を値上げすることで、各家庭や事業者に電力需要の抑制を促す仕組み等が国レベルで検討・審議が進められています。
(*3) VPP
工場や家庭などが有する分散型のエネルギーリソース一つ一つは小規模なものですが、IoT(モノのインターネット)を活用した高度なエネルギーマネジメント技術によりこれらを束ね(アグリゲーション)、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整に活用することができます。
この仕組みは、あたかも一つの発電所のように機能することから、「仮想発電所:バーチャルパワープラント(VPP)」と呼ばれています。
(*4) アグリゲーター
需要家の電力需要を束ねて効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供するマーケター、ブローカー、地方公共団体、非営利団体などを示します。
自ら電力の集中管理システムを設置し、エネルギー管理支援サービス(電力消費量を把握し節電を支援するサービス)、電力売買、送電サービス、その他のサービスの仲介を行っています。
(*5) アンシラリーサービス
供給される電力の品質を維持するための、技術的、運用的なしくみのことです。
たとえば、需給バランスの監視、系統運用、電圧・周波数の調整などがアンシラリーサービスにあたります。
従来、電力会社が担ってきた役割ですが、電力小売の自由化に伴い発送電分離が進むためには、アンシラリーサービスの各機能についても内容や費用が明示化されていき機能によっては市場での取引き対象となることが求められています。
知見者による推薦のメッセージ私は2001年~2002年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に所属し、地球上に広くかつ豊富に存在する水力、太陽光、風力等の再生可能エネルギーを水素等の輸送可能な形に転換し、世界の需要地に輸送し、発電、輸送用燃料、都市ガス等の広範な分野で利用するネットワークの導入を可能とすることを目的としたWE-NET (World Energy Network:水素利用国際クリーンエネルギーシステム技術研究開発)に参画しました。
WE-NETでは水素エネルギーの大規模利用を目的としたタービン入口温度1,700℃級の水素燃焼タービンの開発がおこなわれていました。
小規模利用としては、コージェネレーション、輸送機関、燃料電池、冷熱利用等を念頭に置き現状把握、問題点抽出、利用可能性等を検討しておりました。
私は小規模利用としてのコージェネレーションの研究開発のマネージメントを主査の立場で従事し水素を燃料とする600kW級エンジンの研究開発に従事しました。
2002年に100kW級の水素エンジンの単筒試験の基礎試験に成功しております。
しかしながらWE-NETは当初2003年までの予定であったが、1年前倒しで2002年に終了し、新たなプロジェクトである「水素安全利用等基盤技術開発」にとってかわりました。
結果的に水素エンジンの研究開発は国家プロジェクトから外れ大学レベルでの研究開発として小規模に継続することとなり我が国初の水素エンジンの商用化を歴史に刻むことはありませんでした。
当時水素エネルギーに関する研究開発に従事していた関係者の殆どが"Mysterious Island" Jules Verne( ジュール・ヴェルヌ)1874の予言
「 -水はある日燃料として使用される。水は水素と酸素から構成され、単独でまたは一緒に使用され、熱と光の無尽蔵な供給源となる - 」
の実現に向けて真摯に研究開発に挑んでおりました。
アインシュタインは「人間が頭で考えることは、すべて実現可能である」という名言を残しております。
同じくジュール・ヴェルヌも「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる 」と同様な名言を後世に残しておりおます。
歴史は繰り返すものです。水素エネルギー関係者は“米国キャプストンによる水素燃料マイクロガスタービンの世界初の商用化”に拍手を送ります。
日本が世界に先駆け商用化した家庭用燃料電池(エネファーム)や燃料電池自動車に加え新たに水素利用装置が加わったからです。
水素利用装置がたくさん世界で使用されるとWE-NETの目的に限りなく近づきます。
再生可能エネルギー普及に伴い再エネ用IoTとしてOpenADRが海外では既に採用されていることもWE-NETという世界レベルでのエネルギーネットワークの概念にマッチします。
燃料電池と水素燃料マイクロガスタービンそしてIoTが色々な場面で利用され、地球規模の持続可能社会が達成されることを期待しております。
<推薦者>博士(工学)、技術士(応用理学) 岩崎 和市
2001~2002年 : NEDOに在籍しWE-NETプロジェクトに主査の立場で参画
2003~2005年 : NEDOに在籍し「水素安全利用等基盤技術開発」プロジェクトを主任研究員の立場でマネージメントを行う。
世界初の水素に係る技術基準整備に貢献。
2010~2013年 : 筑波大学大学院に在籍し教授の立場で水素エネルギーに係る研究開発と教育に従事
2011~現在 : 東海大学大学院にて非常勤講師として新エネルギー(水素エネルギー含む)とVPPに係る研究や教育に従事
マイクロガスタービン発電装置の
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